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8)調査駅のように、同じ目的地(降車駅)まで鉄道路線に選択肢がある場合、どの路線を選択するのが合理的か、判断したい。7)のc.d.の情報は特定鉄道の改札口へ至ってからでは手遅れになる。
9)駅出入口で求められる入場系動線上の、異常時系の情報内容には、次の種類などがある。
a.構内や列車運行の異常の発生状況
b.異常発生に伴う行動規制
10)構内や列車運行に異常が起きている場合、現場に到達してからでは手遅れになる。駅出入口でそれを知ることができれば、代替経路を速やかに選択できる可能性も生じる。
異常が発生したとき、利用者が特に知りたいのは復旧の見通しである。それによって次の行動を判断することができる。

 

2.現状への評価
1)前述した駅出入口(入場系動線)で求められる情報内容のうち、調査駅で実際に表示されているのは、移動系、列車系、異常時系全ての中で、2)a.の「駅名」のみである。
2)他のターミナル駅で、駅出入口が改札ホールとしてしつらえられている空間構造の駅では、列車系の情報内容を主とした表示が行われている。
3)調査駅のように、駅施設が商業施設等と複合し、鉄道改札口が通路中間に位置しているターミナル駅の場合、情報表示が整備されている事例は少ない。
4)ターミナル駅を利用するうえで、駅出入口は移動開始点である。
移動を開始するためには、移動に係わる全体的な情報をここで提供する必要がある。情報ニーズに対応した抜本的な検討が必要である。

 

3-2 駅出入口の情報提供(2)出場系動線
1.求められる情報内容
1)駅出入口で求められる出場系動線上の、移動系の情報内容には、次の種類などがある。
a.ここの駅出入口名
b.方向感覚を回復する絶対的な東西南北キー
c.海側や山側というような地形的なキー
d.街中の諸施設の位置あるいは方向
e.トイレ等サービス施設の位置あるいは方向
f.バス等アクセス施設の位置あるいは方向
2)「駅出入口名」は、待合せ以外でそこを最終目的地とする利用者はいないにもかかわらず、最も重要なキー・ワードの一つである。
街中の諸施設やアクセス交通施設へ移動する際、駅出入口名は、それらへ至る動線分岐点を示す「コード化された仲介情報」だからである。これを確認できないと、利用者は以降の行動の起点を失うことになる。
3)地理を理解するうえで最も基本的な座標は、東西南北の方位である。また駅の立地が、

 

 

 

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